Dec 19, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年12月5日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本剤は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • [177Lu]Lu-PSMA-617を用いた第III相PSMAfore試験において、アンドロゲン受容体経路阻害剤(ARPI)療法歴のある前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者を対象に、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の主要評価項目を達成1 
  • [177Lu]Lu-PSMA-617は、タキサン系化学療法を受ける前のmCRPC患者における重要なアンメットニーズ2に応え、臨床的ベネフィットを実証した初のPSMA標的放射性リガンド療法1
  • 得られた知見は今後開催される医学会議で発表され、承認に向けて2023年に世界各国で規制当局に申請予定
  • ノバルティスは、がん治療を目的とした放射性リガンド療法において幅広いポートフォリオを有し、この治療に対する世界的な需要の高まりに対応するために製造能力の拡大に向けて投資

2022年12月5日、スイス・バーゼル発 — 本日、ノバルティスは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とする放射性リガンド療法である[177Lu]Lu-PSMA-617(INN: lutetium(177Lu)vipivotide tetraxetan)を用いたピボタル第III相PSMAfore試験が主要評価項目を達成したことを発表しました。[177Lu]Lu-PSMA-617は、アンドロゲン受容体経路阻害剤(ARPI)による治療後のPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、ARPI群と比較して、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました1。PSMAforeにおいて予期しない安全性所見は認められませんでした。またデータは、既に確立されている[177Lu]Lu-PSMA-617の安全性プロファイルと一致していました1,3

PSMAforeの結果は、ARPI及びタキサン系化学療法による治療後に[177Lu]Lu-PSMA-617と標準治療の併用療法を受けたPSMA陽性mCRPC患者において統計学的有意に死亡リスクが低下した第III相試験VISION試験1,3に続く、肯定的な試験結果です。この結果は、前立腺がん患者の治療における[177Lu]Lu-PSMA-6171の重要な役割を引き続き支持するものです。第III相試験のデータは、今後開催される医学会議で発表され、薬事承認取得に向け2023年に米国食品医薬品局(FDA)と協議する予定です。
 
ノバルティスのグローバル医薬品開発担当プレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるShreeram Aradhy,M.D.は次のように述べています。「今回の有望な第III相臨床試験結果の発表をうけて、[177Lu]Lu-PSMA-617は、タキサン系化学療法を投与されていない前立腺がんの患者さんに対して、臨床的に意義のある効果を実証した初めてのPSMA標的放射性リガンド治療薬となりました。より多くの前立腺がんの患者さんに診断後早期にこの革新的な早期治療の選択肢をお届けできるよう、医療当局とデータを協議していきたいと考えています。」

CRPCと診断された患者の大多数は診断時に既に転移を有しており4、転移を伴う前立腺がん患者の5年生存率は約3割です5。近年の進歩にもかかわらず、標準治療の第二世代ARPI後に進行した患者の予後は依然として悪く、長期予後の改善に役立つ新しい標的治療の選択肢が早急に必要とされています6,7,8,9

[177Lu]Lu-PSMA-617 は、米国及び他のいくつかの国において、ARPI及びタキサン系化学療法による治療歴のあるPSMA陽性mCRPC成人患者の治療薬として既に承認されています10-12

PSMAfore試験について

PSMAfore試験は、PSMA陽性mCRPC患者を対象に、[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性及び安全性を、ARPI群と比較した、第III相非盲検多施設共同1:1無作為化試験です13。1種類の第二世代ARPIによる治療後に進行がみられた患者が組み入れられました13。本試験には患者469例が組み入れられました13。主要評価項目はrPFSであり、無作為割付け日からProstate Cancer Clinical Trials Working Group 3(PCWG3)-modified RECIST v1.1に基づく画像上の進行(盲検下独立中央判定による評価)又は死亡までの期間と定義しました13。主な副次評価項目である全生存期間の評価は、データが未成熟なため、現在も評価を継続中です。

[177Lu]Lu-PSMA-617 (lutetium(177Lu)vipivotide tetraxetan)について

[177Lu]Lu-PSMA-617は、標的化合物(リガンド)と治療用放射性核種(放射性同位元素、この場合はlutetium-177)を組み合わせた放射性リガンド療法の静脈内注射剤です3。血中に投与された[177Lu]Lu-PSMA-617は、膜貫通蛋白質であるPSMAを発現する前立腺がん細胞などの標的細胞に結合します3。結合すると、放射性同位元素からのエネルギー放出によって標的細胞や近傍の細胞が損傷し、細胞の複製能力を阻害および/又は細胞死を誘発します10

[177Lu]Lu-PSMA-617は、他の抗がん剤治療(ARPI及びタキサン系化学療法)を既に受けているPSMA陽性mCRPCと呼ばれる進行がんを有する成人患者の治療薬として、米国やその他の国で承認されています10-12。具体的には、2022年3月に米国食品医薬品局(US FDA)が[177Lu]Lu-PSMA-617を承認しました10。2022年8月と9月に英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)とカナダ保健省が、それぞれ英国とカナダで[177Lu]Lu-PSMA-617を承認しました11,12。2022年10月、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は、[177Lu]Lu-PSMA-617の販売承認を推奨する肯定的見解を示しました14。これらの規制上の決定は、前治療歴のあるPSMA陽性mCRPC患者に対して、標準治療と[177Lu]Lu-PSMA-617を併用した場合に、両主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間および全生存期間を達成し、死亡リスクが統計学的に有意に低下した、主要な第III相VISION試験の結果によって裏付けられています3

ノバルティスでは、早期の前立腺がんにおける[177Lu]Lu-PSMA-617放射性リガンド療法を研究する機会も検討されています15

ノバルティスの前立腺がんへの取り組み

前立腺がんは、2020年だけで140万を超える新規症例が認められ、375,000人が死亡しています。前立腺がんは世界の半数を超える112カ国で最も多く診断されているがん疾患です16。ノバルティスは、世界トップレベルの科学者、戦略的パートナーシップ、および業界内で最も競争力のあるパイプラインを通してイノベーションを起こし、前立腺がんにおける最大のアンメットニーズに対応するために、新たな標的化治療およびプレシジョン・メディスンのプラットフォームの可能性を探索しています。標的療法という大胆な科学を通じて、私たちの目標は世界におけるこの疾病の負荷を軽減し、前立腺がん患者さんの寿命を延ばし、現在の標準治療を向上させることです。

ノバルティス及び放射性リガンド療法(RLT)

ノバルティスは、進行がん患者に対する放射性リガンド療法により、がん治療のあり方を刷新しつつあります。RLTは、放射性原子の力を利用し、進行がんに応用することで、理論的には体内のあらゆる場所にある標的細胞に放射線を照射することができます17,18。ノバルティスは、放射性リガンド治療薬の生産拠点ネットワークにおいて、グローバルな専門知識、専門的なサプライチェーン、製造能力を確立しています。当社のRLTプラットフォームに対する需要拡大を支援するため、米国ニュージャージー州ミルバーン、スペイン・サラゴサ、イタリア・イブレアにおけるRLT生産能力の増強に加え、2023年に稼働予定のインディアナ州インディアナポリスにおける新しい放射性リガンド製造施設の建設に投資しています。ノバルティスは製造能力を拡大するための更なる機会を継続的に評価しています。

進行前立腺がんにおける表現型プレシジョン・メディスンについて

前立腺がん治療の進歩にもかかわらず、mCRPC患者の転帰を改善するための新たな標的治療選択肢に対する高いアンメットニーズが存在します2。前立腺がん患者の80%以上は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)19-23と呼ばれる表現型バイオマーカーを高発現しており、放射性リガンド療法の有望な診断(陽電子放出断層撮影[PET]スキャンによる画像診断)および治療の標的となっています24。これは、がん細胞における特定の遺伝子変異を標的とする 「遺伝子型」 のプレシジョン・メディスンとは異なります25

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

参考文献

  1. Novartis Data on File.
  2. Nuhn P, De Bono JS, Fizazi K et al. Update on systemic prostate cancer therapies: management of metastatic castration-resistant prostate cancer in the era of precision oncology. Eur Urol. 2019;75(1):88–99.
  3. Sartor O, J. de Bono KN, Chi K, et al. Lutetium-177–PSMA-617 for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. NEJM 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2107322.
  4. Kirby M, Hirst C, Crawford ED. Characterising the castration-resistant prostate cancer population: a systematic review. Int J Clin Pract 2011;65(11):1180–92.
  5. American Cancer Society. Survival Rates for Prostate Cancer. ACS website. Available online: https://www.cancer.org/cancer/prostate-cancer/detection-diagnosis-stagi…. Last accessed October 2022. 
  6. de Bono J et al. Olaparib for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. NEJM 2020; doi:10.1056/NEJMoa1911440.
  7. de Wit R, de Bono J et al. Cabazitaxel versus Abiraterone or Enzalutamide in Metastatic Prostate Cancer. NEJM 2019; doi: 10.1056/NEJMoa1911206.
  8. Komura K et al. Comparison of Radiographic Progression-Free Survival and PSA Response on Sequential Treatment Using Abiraterone and Enzalutamide for Newly Diagnosed Castration-Resistant Prostate Cancer: A Propensity Score Matched Analysis from Multicenter Cohort. Journal of clinical medicine 2019; doi:10.3390/jcm8081251.
  9. Tannock, I et al. Docetaxel plus prednisone or mitoxantrone plus prednisone for advanced prostate cancer. NEJM 2004; doi:10.1056/NEJMoa040720.
  10. Pluvicto [prescribing information]. Millburn, NJ: Advanced Accelerator Applications USA, Inc.; 2022.
  11. Advanced Accelerator Applications USA, Inc. PLUVICTO™ Canadian Product Monograph. August 25, 2022.
  12. Pluvicto [Summary of Product Characteristics]. Great Britain. 2022.
  13. Novartis Pharmaceuticals. 177Lu-PSMA-617 vs. Androgen Receptor-directed Therapy in the Treatment of Progressive Metastatic Castrate Resistant Prostate Cancer (PSMAfore). U.S. National Library of Medicine: Clinical Trials. 2020; NCT04689828. 
  14. Novartis. Press Release. https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-receives-positive…. Last accessed October 2022.
  15. Novartis Pharmaceuticals. An International Prospective Open-label, Randomized, Phase III Study Comparing 177Lu-PSMA-617 in Combination With Soc, Versus SoC Alone, in Adult Male Patients With mHSPC (PSMAddition). U.S. National Library of Medicine: Clinical Trials. 2021; NCT04720157.
  16. Sung H, Ferlay J, Siegel RL, Sung H, et al. Global cancer statistics 2020: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
  17. Jadvar H. Targeted radionuclide therapy: an evolution toward precision cancer treatment. AJR Am J Roentagenol. 2017;209(2);277-288. 
  18. Jurcic JG, Wong JYC, Knoc SJ, et al. Targeted radionuclide therapy. In: Tepper JE, Foote RE, Michalski JM, eds. Gunderson & Tepper’s Clinical Radiation Oncology. 5th ed. Elsevier, Inc. 2021;71(3):209-249. 
  19. Hope TA, Aggarwal R, Chee B, et al. Impact of 68Ga-PSMA-11 PET on management in patients with biochemically recurrent prostate cancer. J Nucl Med 2017;58(12):1956–61.
  20. Hupe MC, Philippi C, Roth D, et al. Expression of prostate-specific membrane antigen (PSMA) on biopsies is an independent risk stratifier of prostate cancer patients at time of initial diagnosis. Front Oncol 2018;8:623.
  21. Bostwick DG, Pacelli A, Blute M, et al. Prostate specific membrane antigen expression in prostatic intraepithelial neoplasia and adenocarcinoma: a study of 184 cases. Cancer 1998;82(11):2256–61.
  22. Pomykala KL, Czernin J, Grogan TR, et al. Total-body 68Ga-PSMA-11 PET/CT for bone metastasis detection in prostate cancer patients: potential impact on bone scan guidelines. J Nucl Med 2020;61(3):405–11.
  23. Minner S, Wittmer C, Graefen M, et al. High level PSMA expression is associated with early PSA recurrence in surgically treated prostate cancer. Prostate 2011;71(3):281–8.
  24. Hofman MS, Violet J, Hicks RJ et al. [177Lu]-PSMA-617 radionuclide treatment in patients with metastatic castration-resistant prostate cancer (LuPSMA trial): a single-centre, single-arm, phase 2. 
  25. Sant GR, Knopf KB, Albala DM. Live-single-cell phenotypic cancer biomarkers-future role in precision oncology? NPJ Precision Oncology 2017;1(1):21.

ノバルティス [177Lu]Lu-PSMA-617、PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん患者において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある画像診断に基づく無増悪生存期間のベネフィットを示す(PDF 382KB)