Jul 09, 2026

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科をはじめとする研究グループの一員として、神奈川県平塚市の特定健診1で高血圧を指摘された受診者を対象とした後ろ向きコホート研究を実施いたしました。本研究では、健診後の血圧管理の実態に加え、目標血圧の達成につながりやすい集団の特性が明らかになったことで、より効率的な生活習慣指導を検討するための知見が示唆されました。本研究結果は、『Hypertension Research』誌2および『Journal of Cardiology』誌3に掲載されています。 

国内の高血圧患者数は4,300万人と推定されていますが、そのうち降圧治療で血圧が正常範囲に収まっている人は1,200万人と、全体の3割に満たない状況です4。また、多くの人が治療を受けていても血圧が十分に下がっていない、あるいは治療に結びついていません4。こうした血圧管理の達成率は、他の先進国と比較しても低く、日本における大きな健康課題となっています。一方で、日本では健康診断が定期的に行われ、血圧測定で高血圧が指摘されているにも関わらず、血圧管理が十分に進まず、「健診での指摘」から「適切な受診・継続的管理」につながっていない現状があります。 

そこで、こうした課題の背景を明らかにするため、特定健診受診者のデータを活用して研究を行いました。このたびのデータ解析の結果、目標血圧を達成しやすい人の特徴として、70歳未満で高血圧の重症度が軽度であり、これまで高血圧を指摘されたことがないことが示されました。また、降圧薬なしで目標血圧に到達した軽度高血圧の人では、生活習慣改善の指標とされるγ-GTPの低下が目標血圧の達成と関連していました。本研究によって、目標血圧の達成につながりやすい集団の特性が明らかになったことで、より効率的な保健指導につながることが期待されます。

ノバルティス ファーマは、循環器を注力領域の一つとして位置付け、「心血管疾患(CVD)で失われる命を一つでも減らす」というミッションのもと、革新的な新薬の創出に加え、疾患に関する正しい知識の普及や企業・アカデミアとの協業による医療エコシステムの整備といった取り組みを行っています。心血管疾患領域では、「健診による早期発見」から「適切な受診」、さらに「継続的な血圧管理」へとつなげる一連の流れを社会全体で実現していくことが重要です。今後も、産官学が一体となったエビデンスの創出や疾患啓発を通じて、医療アウトカム向上のための社会の包括的な仕組みづくりに貢献していきます。

研究概要

本研究では、神奈川県平塚市の特定健診データや、国民健康保険などの関連データを統合し、解析を行いました520165月から20233月までに特定健診を2回以上受診した40歳から74歳の市民のうち、健診時に血圧が140/90 mmHg以上で、かつ健診前6か月以内に高血圧治療歴のない5,428人を対象としています。そのうち、次回健診時に目標血圧(140/90 mmHg未満、または130/80 mmHg未満)を達成した割合を算出するとともに、その達成に関連する要因を検討しました。

主な研究結果

  • 次回健診時に血圧140/90 mmHg未満を達成した割合は58.4%、130/80 mmHg未満を達成した割合は18.1%でした。
  • 次回健診までに降圧薬の定期処方があった人では、61.4%が140/90 mmHg未満を達成しました。一方、降圧治療がなかった人でも、55.9%が同水準を達成しており、治療の有無にかかわらず一定割合で血圧改善がみられました。
  • 多変量回帰分析の結果、次の要因が血圧140/90 mmHg未満の達成率に関連していました:
    • 年齢が70歳未満
    • 軽度(Ⅰ度)高血圧(収縮期140~159 mmHg/拡張期90~99 mmHg)
    • 前回健診で高血圧の指摘がない、または記録がない
    • 生活習慣を改善する意欲が向上した
  • 決定木解析の結果、次の因子が血圧140/90 mmHg未満の達成率に関連していました: 

     降圧治療がなかった人(2,960人)
    • 前回健診で高血圧の指摘がなかったかどうか
    • 血圧がⅠ度か、Ⅱ度(160/100 mmHg以上)か
    • γ-GTPが6.5 U/L以上低下したかどうか 
      特に、「前回高血圧歴なし × Ⅰ度高血圧 × γ-GTP低下量6.5以上」の条件を満たした人では、83.2%が目標血圧を達成していました。 

      降圧治療があった人(2,468人)
    • 前回健診で高血圧の指摘がなかったかどうか
    • 血圧がⅠ度か、Ⅱ度以上か
    • 年齢が71.5歳以下かどうか
      このうち、「前回高血圧歴なし × Ⅰ度高血圧 × 年齢71.5歳以下」の条件を満たした人では、77.9%が目標血圧を達成していました。 
       

ノバルティス ファーマ株式会社について  

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティス ファーマは、より充実した健やかな毎日のために、「ともに、医薬の未来を描く」を追求しています。 
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp 
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。 Facebook LinkedIn YouTube  Instagram 

以上

参考文献

  1. 特定健診:生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の予防を目的として行われる健康診断。40歳から74歳の医療保険加入者が対象で、身体測定、血圧測定、尿・血液(血糖・脂質など)検査、問診などが実施される。
  2. Hypertension Research誌:https://www.nature.com/articles/s41440-025-02134-x
  3. Journal of Cardiology誌:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S091450872600002X?via%3Dihubx
  4. 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会 編:高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版, 2025
  5. 本研究は、神奈川県平塚市が実施する特定健診等の保健事業の一環として提供されたデータを用い、関連する法令および倫理指針に基づいて実施されました。解析には特定の個人を識別できないよう加工されたデータを使用しており、研究対象者にはオプトアウトの機会が設けられています。本研究で得られた知見は、地域の健康増進への活用を目的としたものです。