プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、「シムレクト®静注用20mg」「シムレクト®小児用静注用10mg」(一般名:バシリキシマブ(遺伝子組み換え)、以下「シムレクト」)について、成人および小児における腎移植以外の臓器移植(肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植)後の急性拒絶反応の抑制に関する効能・効果および用法・用量の追加承認を取得したことをお知らせします。
臓器移植は、他に有効な治療法がない末期臓器不全において、唯一の治療選択肢とされ、ドナーから提供された臓器を移植することで機能の回復を目指す医療です。しかし、移植されたドナーの臓器はレシピエントの体内では異物として認識されるため、拒絶反応と呼ばれる免疫反応によって異物を排除しようとする働きが生じます1。移植後早期に発症する急性拒絶反応には、主にT細胞の活性化が深く関与しているため、T細胞に対して抑制効果を有する免疫抑制剤が開発され、異なる作用機序を有する薬剤を併用する免疫抑制療法が実臨床で用いられています2。一方で、薬事承認されて利用可能な免疫抑制剤の選択肢は限られており、既存の免疫抑制療法と併用することで拒絶反応の抑制を強化し、個々の免疫抑制剤の副作用を軽減できる新たな免疫抑制剤が求められていました。
シムレクトは、ヒトIL-2受容体α鎖(CD25)に対するキメラ型モノクローナル抗体です。活性化T細胞表面に発現するCD25に特異的に結合することで、T細胞の分化・増殖に必要なIL-2の作用を選択的に阻害し、移植後の急性拒絶反応の発現を抑制します1。
日本では、腎移植患者を対象とした国内外の臨床試験データに基づき、2002年1月に成人を対象とした「シムレクト®静注用20mg」が、2008年6月に小児を対象とした「シムレクト®小児用静注用10mg」が、それぞれ腎移植後の急性拒絶反応の抑制に対する製造販売承認を取得しています。
一方で、シムレクトは国内外で腎移植以外の臓器移植に対して薬事承認がされていないものの、移植後の抗体導入療法として、実臨床で一定の割合で使用されており3、外国の複数のガイドラインでも治療選択肢の一つとして位置付けられています。こうした状況を踏まえ、日本移植学会から腎移植以外の臓器移植におけるバシリキシマブの適応に関する開発要望が提出されました。その結果、2022年8月に実施された「第52回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて肝移植(成人・小児)に対する適応は医療上の必要性が高いと判断され、肝移植以外の成人および小児の臓器移植(心、肺、小腸、および膵)に対する開発可能性も検討する旨が示され、厚生労働省から開発要請が発出されました。
開発要請を受けて、日本移植学会との共同研究として、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、膵島移植、および小腸移植を対象に「移植後の急性拒絶反応の抑制を目的としたバシリキシマブ(シムレクト)の使用に関する全国実態調査」を実施しました。その結果に加え、実施済みの外国治験や、国内外の公表文献等に基づき、腎移植以外の臓器移植(肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植)後の急性拒絶反応の抑制においても有効性および安全性が評価され、追加承認を取得しました。これにより、シムレクトは腎移植以外の臓器移植を受ける患者さんに対しても、急性拒絶反応の抑制に寄与する新たな治療選択肢となり、より適切な免疫抑制療法の実現に貢献します。
今回の承認について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは、次のように述べています。「今回の追加承認は、移植医療におけるアンメットメディカルニーズに応えるために、これまでに確立されてきたシムレクトの有効性および安全性に関するエビデンスと知見を、新たな領域へと広げることで実現したものです。腎移植以外の臓器移植では、これまで有効な免疫抑制剤の選択肢が限られていましたが、本承認により、こうした領域においても急性拒絶反応の抑制に寄与する新たな治療選択肢として、より適切な免疫抑制療法の実現に貢献することが期待されます。ノバルティスは今後も、移植を必要とする患者さんとそのご家族、そして医療従事者の皆さまに貢献できる治療選択肢の提供に取り組んでまいります」。
移植後の急性拒絶反応の抑制を目的としたバシリキシマブ(シムレクト)の使用に関する全国実態調査1,10
本調査は、2016年1月1日から2020年12月31日までの期間に、臓器移植時の導入療法としてバシリキシマブ(シムレクト®)が投与された成人および小児の臓器移植患者(肝臓、心臓、肺、小腸、膵臓、および膵島)を対象とした後ろ向き、他施設共同の使用実態調査です。臓器移植全体で320名(肝移植 104 名,心移植 133 名,肺移植 72 名,小腸移植 6 名,膵移植 2 名,膵島移植 4 名)の情報が収集されました。主要評価項目である移植後6ヵ月間における有害事象の発現割合は77.2%でした。比較的よくみられた有害事象は、貧血、AST/ALT/CRP上昇、サイトメガロウイルス血症などでした。移植後6ヵ月間の副作用の発現割合は30.6%であり、Grade 3およびGrade 4の重症度の副作用が報告された患者の割合は、それぞれ10.9%、4.7%と低値でした。移植後6ヵ月間の急性拒絶反応の発現割合は、肝移植では23.1%、小腸移植では50%であり、その他の臓器移植での発現割合11%未満と比べて高いデータが示されました。バシリキシマブは、概ね成人では総投与量40 mg(小児では20 mg)として、移植日および移植後4日目に2回に分けて20 mg(小児では10 mg)ずつ投与されていました。
シムレクト(一般名:バシリキシマブ)について
シムレクトは、ヒトIL-2受容体α鎖(CD25)に対するキメラ型モノクローナル抗体です。活性化T細胞表面に発現するCD25に特異的に結合することで、T細胞の分化・増殖に必要なIL-2の作用を選択的に阻害し、移植後の急性拒絶反応の発現を抑制します1。「シムレクト®静注用20mg」は1998年にスイスで承認発売されて以来、米国、EU各国など世界110ヵ国以上(2021年6月現在)で承認されており、小児腎移植患者への効能・効果は2000年にEU各国、2001年に米国で承認されています。また、「シムレクト®小児用静注用10mg」は2003年に米国で承認発売されて以来、EU各国など世界30ヵ国以上(2021年6月現在)で承認されています。日本では、2002年1月に成人を対象とした「シムレクト®静注用20mg」が、2008年6月に小児を対象とした「シムレクト®小児用静注用10mg」が、それぞれ腎移植後の急性拒絶反応の抑制に対する製造販売承認を取得しています。さらに2026年6月に、腎移植以外の臓器移植(肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植)後の急性拒絶反応の抑制に関する効能・効果および用法・用量の追加承認を取得しました。
臓器移植における拒絶反応とは
臓器移植は、他に有効な治療法がない場合に検討される末期臓器不全の唯一の治療手段であり、ドナーから提供された臓器を移植して、その機能を回復させる医療です。移植されたドナーの臓器はレシピエントの体内では異物として認識されるため、拒絶反応と呼ばれる免疫反応によって異物を排除しようとする働きが生じます1。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティス ファーマは、より充実した健やかな毎日のために、「ともに、医薬の未来を描く」を追求しています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
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以上
参考文献
- 曽山明彦, 他. 移植. 2025;60(2):101-113.
- 中川由紀, 他. 日腎会誌. 2013;55(2):112-118.
- 福嶌教偉. 移植. 2018;53(1):9-14.
- Charlton M, et al. Transplantation. 2018;102(5):727-743.
- European Association for the Study of the Liver. J Hepatol. 2024;81(6):1040-1086.
- 社内資料:成人腎移植患者における外国第Ⅲ相臨床試験(2002年1月17日承認)
- Nashan B, et al. Lancet. 1997;350(9086):1193-1198.
- Kahan BD, et al. Transplantation.1999;67(2):276-284.
- 社内資料:成人腎移植患者における外国第Ⅲ相臨床試験(CHIB201試験/CHIB352試験):期間延長非盲検試験の5年生存率
- 社内資料:臨床に関する概括評価(CTD2.5)
<参考資料>
シムレクト®の製品概要
製品名:(下線部は今回追加承認された効能・効果および用法・用量)
シムレクト®静注用20mg(Simulect® i.v.injection 20mg)
シムレクト®小児用静注用10mg(Simulect® i.v.injection 10mg for pediatric)
一般名:
バシリキシマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果**:
下記の臓器移植後の急性拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
用法及び用量(抜粋)**:
〈効能共通〉
(シムレクト®静注用20mg)
通常、成人にはバシリキシマブ(遺伝子組換え)として40mgを総用量とし、20mgずつ2回に分けて、静脈内に注射する。
(シムレクト®小児用静注用10mg)
通常、幼児・小児にはバシリキシマブ(遺伝子組換え)として20mgを総用量とし、10mgずつ2回に分けて、静脈内に注射する。
以下、(シムレクト®静注用20mg)および(シムレクト®小児用静注用10mg)共通
〈腎移植〉
初回投与は移植術前2時間以内に、2回目の投与は移植術4日後に行う。
〈肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植〉
初回投与は移植術前2時間以内、又は移植術中若しくは移植術後速やかに行う。2回目の投与は移植術4日後に行う。
用法及び用量に関連する注意(抜粋)**:
(シムレクト®静注用20mg)
- 本剤は、臓器移植において一般的に用いられる免疫抑制療法に加えて投与すること。
(シムレクト®小児用静注用10mg) - 本剤は、臓器移植において一般的に用いられる免疫抑制療法に加えて投与すること。
- 体重35kg以上の患者に投与する場合は、期待される免疫抑制効果を得ることができない可能性があるため、40mgを総用量とし、20mgずつ2回に分けた投与を考慮すること。
以下、(シムレクト®静注用20mg)および(シムレクト®小児用静注用10mg)共通
〈肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植〉
移植術に伴い大量の出血や体外式膜型人工肺(ECMO)の使用が想定される場合等には、初回投与は移植術中又は移植後速やかに行うことを考慮すること。
承認取得日:
2026年6月19日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
**「効能又は効果」、「用法及び用量」ならびに「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書
(電子添文)をご覧下さい。