May 24, 2021

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

​ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:レオ・リー)は、本日、多発性硬化症(以下、MS)に対して日本で初めてのB細胞を標的とする治療法である「ケシンプタ®皮下注20mgペン」(一般名:オファツムマブ、以下「ケシンプタ」)を発売しました。

「ケシンプタ」は、ペン型デバイスを用いて月1回皮下投与で治療可能な完全ヒト抗CD20モノクローナル抗体で、主にリンパ節のCD20陽性B細胞表面に結合することにより、B細胞の融解および減少を誘発する、国内で初めてのMSに対するB細胞を標的とする治療法です1,2,3。B細胞はMSの障害進行の原因となる炎症性サイトカイン産生やT細胞の異常活性化を促すため、B細胞の除去がMSの効果的な病態修飾ならびに優れた臨床的有効性の発現につながると考えられています。また、B細胞は、MS病態における初期から進行期に至る一連の臨床経過ステージにおいて関与が示唆されていることから、「ケシンプタ」は、幅広い患者に対して治療選択肢となることが期待されます。

「ケシンプタ」は海外では1st lineの治療薬として位置づけられることも多いteriflunomide4,5,6(国内未承認)との比較試験(第Ⅲ 相試験:ASCLEPIOS IおよびII試験)において、主要評価項目である年間再発率(ARR)をそれぞれ51%および59%と大幅に減少させ(いずれもP < .001)、統合解析においても、teriflunomide投与群と比較して、3ヵ月間持続する障害進行(CDP)で34.4%(P = .002)の相対リスク低下も示しました1。さらに、teriflunomideと概して同等の安全性プロファイルを示しました。日本人を含む24週間の二重盲検、プラセボ対照試験(APOLITOS試験)においても、Gd造影T1病変をプラセボに比べ94%抑制(p < .001)し、安全性プロファイルもASCLEPIOS試験で得られた結果と同様でした7。加えて、「ケシンプタ」は月1回の皮下投与かつ簡便に使えるペン型デバイスを採用しています。このことから、同剤が、再発と進行の抑制を含めた有効性と安全性を有し、かつライフスタイルに合わせることができる、患者さんにとって、これまでにない新たなソリューションとなる可能性が期待されます。

「ケシンプタ」の発売について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長 レオ・リーは次のように述べています。「MSは、治療薬の有効性と安全性のバランスや、患者さんの予後不良因子や症状、および希望する剤型やライフスタイルに合った投与頻度に鑑みて薬剤選択をする必要があり、治療選択肢が限られることが課題となっています。 この度発売された『ケシンプタ』は、このように複雑な背景をもつMS治療のアンメットニーズを満たす薬剤として、患者さんに貢献するものとなることを確信しています」

「ケシンプタ」について

「ケシンプタ」は、成人のMS において、CD20 陽性B 細胞を標的とする抗体医薬で、月1 回の皮下投与かつ簡便に使えるペン型デバイスによって、より柔軟な疾患管理ができる可能性のある製剤です。「ケシンプタ」は、初回、1 週後、2 週後、4週後、以降は4 週間隔で投与されます。前臨床試験で示されているように、「ケシンプタ」はB 細胞表面のCD20 分子に結合することにより作用し、強力なB 細胞の溶解および減少を誘発します3。また、「ケシンプタ」の標的選択性と皮下投与を採用したことによって、B 細胞の減少を必要とするリンパ節への正確なターゲティングと、脾臓でのB 細胞温存を両立することが可能となりました8。「ケシンプタ」の月1 回の投与は、B 細胞の迅速な回復も可能とし、利便性の向上に寄与します9。「ケシンプタ」の有効成分である「オファツムマブ」はジェンマブによって開発され、グラクソ・スミスクラインにライセンス供与されました。ノバルティスは、2015 年12 月に、MS を含むすべての適応症について、「オファツムマブ」に対する権利をグラクソ・スミスクラインから導入しました10

ASCLEPIOS I およびII 試験について

ASCLEPIOS I およびII 試験は、再発型MS(RMS)の成人患者を対象として、「ケシンプタ」20mg 月1 回皮下投与の安全性と有効性をteriflunomide 14mg 錠1 日1 回経口投与との比較から評価する同一デザイン、可変投与期間(最長30 ヵ月間)、二重盲検、無作為化、多施設共同、第III 相試験です。 ASCLEPIOS I およびII 試験は、総合障害度評価尺度(EDSS)スコアが0~5.5 であった18 歳から55 歳までの1, 882 名のMS 患者が登録されました。試験は、37 ヵ国の350 を超える医療機関で実施されました11。ASCLEPIOS I およびII 試験において、「ケシンプタ」投与群では、teriflunomide 投与群(両方の試験でP <.001)と比較して、主要評価項目である年間再発率(ARR)をそれぞれ51%(0.11 vs 0.22)および59%(0.10 vs 0.25)と大幅に減少させました。また、「ケシンプタ」はASCLEPIOS 試験で示されているように、事前に決められた統合解析でteriflunomide 投与群と比較して、3 ヵ月間持続するCDP で34.4%(P = .002)の相対リスク低下も示しました1

また、 「ケシンプタ」投与群は、teriflunomide 投与群と比較してGd 増強T1 病変と新規または拡大T2 病変の両方の有意な抑制を示しました。両試験ともに、「ケシンプタ」投与群は、Gd 増強T1 病変の平均値を減少させ(ASCLEPIOS I およびII 試験それぞれ98%と94%の相対的な減少、両方ともP <.001)新規または拡大T2 病変についても同様でした(ASCLEPIOS I およびII 試験それぞれ82.0%と84.5%の相対な減少、両方ともP <.001)1

「ケシンプタ」投与群とteriflunomide 投与群は重篤な感染症や悪性腫瘍の発現率においても同等の安全性プロファイルを有していました。上気道感染、頭痛、注射に関連する反応、注射部位への反応は、両群で最もよくみられた有害事象でした(発現頻度≧10%)1

別の解析によると、「ケシンプタ」がRMS 患者における新たな疾患活動を抑制することも示されました。「ケシンプタ」投与群において、NEDA-3(再発なし・MRI病変なし・身体障害進行なし)を達成した患者割合は、1 年目で47.0%、2 年目では87.8%となりました12

CD20 陽性 B 細胞を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体である「ケシンプタ」は、概して優れた有効性を示し、感染症の発現率などteriflunomide と同等の安全性プロファイルを示しました1

APOLITOS 試験について

APOLITOS 試験は、日本人を含む24 週間の二重盲検、プラセボ対照試験で、最長48 週間のオープンラベルの継続投与期が付与されました。過去2 年間に1 回以上の再発、及び過去1 年間にMRI 画像で疾患活動性を示したRMS 患者を対象とし、「ケシンプタ」20mg 皮下注又はプラセボ皮下注に2:1 のランダム化比で割り付けられました。日本とロシアで32 名ずつ、計64 名の被験者(「ケシンプタ」群43名、プラセボ群21 名)がランダム化されました。「ケシンプタ」はGd 造影T1 病変をプラセボに比べ93%抑制(p<0.001)し、この抑制効果は日本とロシアの地域間で同様でした。有害事象は「ケシンプタ」群の69.8%、プラセボ群の81.0%で生じ、最も多く報告された有害事象は注射に伴う反応(「ケシンプタ」群20.9%、プラセボ群19.0%)でした。本試験で新たな安全性のシグナルは認められず、ASCLEPIOS 試験で得られた結果と同様でした7

多発性硬化症について

多発性硬化症(MS)は、ミエリンの損傷、脳、視神経および脊髄の機能障害を特徴とする中枢神経系の慢性炎症性疾患です13。日本におけるMS 患者数は約1 万5 千人とされ、年々増加しています14。また、発症のピークは20 歳代で、女性に多い疾患です15。MS は、発症後しばらくは症状があらわれる期間(再発期)と症状が治まる期間(寛解期)を繰り返す再発寛解型MS(RRMS)として経過しますが、半数は次第に再発の有無にかかわらず病状が進行する二次性進行型(SPMS)に移行します。進行期に移行すると日常生活に影響をおよぼす不可逆的な身体的障害が徐々にみられるようになります16。また、認知機能障害が進み、雇用に影響をもたらすこともあります17。その結果、日常生活において、次第に家族のサポートが必要となることから、進行の症状は患者のみならず家族の社会生活にも少なからず影響を与える指定難病です18,19。MS のさまざまな病型は、患者が再発(明確に定義できる神経機能を悪化させる急性炎症性発作)を経験するかどうか、および/または疾患の発症から神経損傷および身体障害進行につながるかどうかに基づいて判断されます13

ノバルティスの神経内科領域における取組みについて

ノバルティスは、神経内科領域においてアンメットニーズの高い疾患に苦しむ患者への革新的な治療法をお届けすることができるよう研究開発に注力しています。私たちは、MS、片頭痛、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、てんかん、注意欠陥多動性障害など、複数にわたる疾患の患者と医療関係者へのサポートに努め、MS、アルツハイマー型認知症、脊髄性筋萎縮症、および特殊神経領域での有望なパイプラインを揃えています。

ノバルティスファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。ノバルティスは世界で約11万人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに製品が届けられています。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp

以上

参考文献

  1. Kesimpta Prescribing Information. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corp; August 2020.
  2. Bar-Or A, Fox E, Goodyear A, et al. Onset of B-cell depletion with subcutaneous administration of ofatumumab in relapsing multiple sclerosis: results from the APLIOS bioequivalence study. Poster presentation at: ACTRIMS;February 2020; West Palm Beach, FL.
  3. Smith P, Kakarieka A, Wallstroem E. Ofatumumab is a fully human anti-CD20 antibody achieving potent B-cell depletion through binding a distinct epitope. Poster presentation at: ECTRIMS; September 2016; London, UK.
  4. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211034815001066
  5. https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s13311-015-0412-4.pdf
  6. https://www.cambridge.org/core/journals/canadian-journal-of-neurological-sciences/article/managing-multiplesclerosis-treatment-initiation-modification-and-sequencing/035FA88E6AB77625B4375D780B916653
  7. J.-I.Kira, J. Nakahara, D.V.Sazonov, et al. Efficacy and safety of ofatumumab versus placebo in relapsing multiple sclerosis patients in Japan and Russia: Results from the Phase 2 APOLITOS study, ePoster presentation at:MSVirtual 2020: 8th Joint ACTRIMS-ECTRIMS Meeting; September 2020Giovannoni G et al. “Brain health:
    Time matters in multiple sclerosis” p32, Reprinted 2017(https://www.msbrainhealth.org/perch/resources/brain-health-time-matters-in-multiple-sclerosis-policy-report.pdf)
  8. Smith P, Huck C, Wegert V, et al. Low-dose, subcutaneous anti-CD20 therapy effectively depletes B-cells and ameliorates CNS autoimmunity. Poster presentation at: ECTRIMS; September 2016; London, UK.
  9. Savelieva M, Kahn J, Bagger M, et al. Comparison of the B-cell recovery time following discontinuation of anti-CD20 therapies. ePoster presentation at: ECTRIMS; October 2017; Paris, FR.医療情報科学研究所 編.: 病気がみえる vol.7 脳・神経 第2 版, メディックメディア, 2017
  10. Genmab Press Release: Genmab announces completion of agreement to transfer remaining ofatumumab rights. December 21, 2015. Accessed August 12, 2020. https://ir.genmab.com/static-files/9d491b72-bb0b-4e46-a792-dee6c29aaf7d ノバルティス ファーマ株式会社 MS 治療に関する医師と患者への定量調査 2020
  11. Hauser S. Efficacy and safety of ofatumumab versus teriflunomide in relapsing multiple sclerosis: results of the phase 3 ASCLEPIOS I and II trials. Oral presentation. ECTRIMS 2019.
  12. Hauser S, Bar-Or A, Cohen J, et al. Ofatumumab versus teriflunomide in relapsing multiple sclerosis: analysis of no evidence of disease activity (NEDA-3) from ASCLEPIOS I and II trials. Eur J Neurol. 2020;27(S1)日本神経学会 監修.: 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン 2017, 医学書院, 2017.
  13. Guthrie E. Multiple sclerosis: a primer and update. Adv Studies Pharm. 2007;4(11):313-317.
  14. Osoegawa M, et al.: Mult Scler.; 15(2): 159-73. 2009.
  15. Multiple Sclerosis International Federation.: Atlas of MS 2013
  16. [Nandoskar A, et al. (2017)] Pharmacological aproaches to the Management of Secondary Progressive Mulitple Sclerosis. Drugs; 7 (8); 885-910.
  17. [Strober L, et al, (2014)] Unemployment in multiple sclerosis (MS) : utility of the MS Functional Composite and
    cognitive testing. Mult Scler; 20(1):112-5.
  18. [Naoshy S, et al. (2015)] The Impact of Increasing Multiple Sclerosis (MS) Severity Level on Employment and Caregiver Burden. Value Health 18(7) 722-9.
  19. 医療情報科学研究所 編.: 病気がみえる vol.7 脳・神経 第2 版, メディックメディア, 2017Smith P, Huck C, Wegert V, et al. Low-dose, subcutaneous anti-CD20 therapy effectively depletes B-cells and ameliorates CNS autoimmunity. Poster presentation at: ECTRIMS; September 2016; London, UK.


<参考資料>
「ケシンプタ®皮下注20mgペン」の製品概要

製品名:ケシンプタ®皮下注20mg ペン

一般名:オファツムマブ(遺伝子組換え)

効能又は効果*
下記患者における再発予防及び身体的障害の進行抑制
再発寛解型多発性硬化症
疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症

用法及び用量*
通常、成人にはオファツムマブ(遺伝子組換え)として1回20mgを初回、1週後、2
週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。

承認取得日:
2021 年3 月23 日

発売日:
2021 年5 月24 日

薬価:
20mg 0.4mL 1 キット:230,860 円

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社

*効能又は効果に関連する注意並びに用法及び用量に関連する注意は、添付文書をご覧下さい。