プレスリリース
報道関係各位
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2020 年4 月21 日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.com をご参照ください。
- EXPAND 試験から得られた新たな長期データにおいて、シポニモドフマル酸で継続的に治療された二次性進行型多発性硬化症(SPMS)患者は、シポニモドフマル酸治療に切り替えた患者よりも障害進行および認知機能低下のリスクが低かった1
- 別途行ったEXPAND 試験の事後解析において、長期の不可逆的障害蓄積と関連した転帰であるSPMS 患者の皮質灰白質(cGM)および視床萎縮をシポニモドフマル酸が減少させた2, 3
- シポニモドフマル酸は、広くSPMS 患者において障害進行を抑制させることが証明された最初で唯一の経口疾患修飾療法(DMT)である
2020年4月21日、スイス・バーゼル発– ノバルティスは、本日、米国神経学会(American Academy of Neurology)の医学専門誌Neurology®の4月追補版に、新たなシポニモドフマル酸のデータを発表しました。シポニモドフマル酸は、二次性進行型多発性硬化症(以下、SPMS)患者の障害進行を抑制し、認知機能の改善をもたらすことが証明されています1。多発性硬化症(以下、MS)患者によってMSの経過は異なりますが、治療中の再発寛解型MS(以下、RRMS)患者の4人に1人は、RRMS発症から10年以内にSPMSに移行します*4。
発表された5年間のEXPAND非盲検継続試験のデータでは、継続試験に参加したシポニモドフマル酸治療継続群またはプラセボからシポニモドフマル酸への切り替え群(プラセボ切替群)のSPMS患者を対象に、シポニモドフマル酸の長期有効性および安全性が評価されました。シポニモドフマル酸治療継続群は、プラセボ切替群と比較して、3ヵ月および6ヵ月持続する障害進行(以下、CDP)のリスクが有意に低く(それぞれp=0.0064、p=0.0048)、これは早期からの投与開始の有用性を示しています1。これらのデータは、2020年米国神経学会年次会議がCOVID-19により中止された後、Neurology®の4月号追補版に掲載されました。
「このデータは、シポニモドフマル酸が、進行抑制および認知機能障害に対する長期的な効果を通じて、患者の自立をより長く維持するのに役立つことを示しています。私たちのミッションである『医薬の未来を描く』に関しシポニモドフマル酸を通じて達成し、MSのような難しい進行性疾患の患者さんに、より明るい将来をお届けしたいと考えています」と、ノバルティス ファーマの中枢神経領域のグローバル開発責任者であるノルマン・プツキ(Norman Putzki)は述べています。また、新たなデータでは、シポニモドフマル酸治療継続群の年間再発率(以下、ARR)がプラセボ切替群と比較して52%低下したことが示されており(p<0.0001)、6ヵ月時点での認知機能障害(Symbol Digit Modalities Testによる)の増悪リスクは、シポニモドフマル酸治療継続群はプラセボ切替群と比較して23%の低下を示しました(p=0.0014)。シポニモドフマル酸治療継続群で認められた効用は5年間まで持続しており、シポニモドフマル酸による早期からの投与開始の有用性が示されました。有害事象の発現率は、プラセボ対照治療期のものと一致していました1。このEXPAND試験の非盲検継続期は7年間の予定であり、現在も継続中です。
Neurology®同号で掲載されたシポニモドフマル酸の追加データには、EXPAND試験から、活動性が低く疾患の進行した患者を含むSPMS患者において、シポニモドフマル酸が一貫して皮質灰白質(以下、cGM)および視床の萎縮を抑制させることを示す、新たな事後解析も含まれていました。サブグループを通して、シポニモドフマル酸はcGM萎縮をプラセボと比較して48~116%(p<0.01、投与12ヵ月後および投与24ヵ月後)、視床萎縮を30~68%(p<0.05、投与12ヵ月後および投与24ヵ月後;但し、罹病期間>15年かつ投与12ヵ月後ではp=0.1029)抑制させました2。他の解析と組み合わせると、これらの知見は、障害進行および認知機能障害の抑制を含む長期臨床転帰に好ましい影響をもたらす可能性を示しました。
SPMS患者のmagnetization transfer ratio(以下、MTR)変化に対するシポニモドフマル酸の有効性を評価するEXPAND試験からの解析は、既存の前臨床のエビデンスを踏まえると、シポニモドフマル酸が中枢神経(CNS)における修復機序を促進する可能性が示唆されています。MTRは脳内ミエリン量の推定に広く用いられている手法です。MTRの結果は、シポニモドフマル酸が脱髄を有意に減少させることを示し、再髄鞘形成5に対するこれまでの前臨床試験における知見を実証しています2。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の臨床研究部長、George A.Zimmermann多発性硬化症寄付講座教授であるブルース・クリー(Bruce Cree)医学博士は次のように述べました。「これらのデータは、疾患が進行しているMS患者にとって、最良の長期転帰を得るために、シポニモドフマル酸のような疾患修飾治療薬による早期治療介入が極めて重要であることを示しています。たとえ軽微であっても身体的および認知機能的変化を早期に把握することで、MSの疾患進行を確認することができます。多発性硬化症の進行に先んじた治療介入に早すぎるということはありません」。
*シポニモドフマル酸の各国の適応については、「シポニモドフマル酸について」を参照
†SPMS患者の車椅子依存までの時間はプラセボ群よりも平均4.3年長かった。
‡Clinically isolated syndrome(CIS)は、24時間以上持続し、中枢神経系の炎症または脱髄によって引き起こされる神経症状の初発と定義されます6。
EXPAND 試験について7
EXPAND試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第III相臨床試験で、EDSSスコアが3.0~6.5の様々なレベルの身体的機能障害を有するSPMS患者を対象に、シポニモドフマル酸の有効性および安全性をプラセボと比較しています。また、長期の安全性、忍容性および有効性のデータを得るため、継続試験として非盲検BAF312試験(継続投与パート)を実施しています8。EXPAND試験は、これまでのSPMSを対象とした試験としては最大規模の無作為化比較対照試験であり、31カ国から1,651名のSPMS患者が参加しました。シポニモドフマル酸は、S1P受容体調節薬のこれまでの報告と概して大きく異ならない安全性プロファイルが示されました。また、3ヵ月持続するCDPのリスクが21%減少し、統計学的に有意でした(p=0.013;主要評価項目)。CDPは、EDSSで、ベースラインスコアが3.0~5.0の場合は1ポイントの上昇、ベースラインのスコアが5.5~6.5の場合は0.5ポイントの上昇が認められた場合と定義されています。重要な副次評価項目のうち、25フィート時間制限性歩行試験(T25FW)ではプラセボとの間に有意差は認められませんでしたが、T2病変容積では、その増加は限定的で、プラセボと比べ79%抑制していました。その他の副次評価項目では、年間再発率(ARR)のプラセボに対する抑制率は55%を示し、ガドリニウム増強病変が認められない患者(89% vs プラセボ67%)および新規またはT2病変の拡大が認められない患者(57% vs プラセボ 37%)の割合はプラセボと比べ高くなっていました。
第35回欧州多発性硬化症治療研究委員会(ECTRIMS)で発表された追加の探索的解析により、シポニモドフマル酸は患者の移動能力(車椅子生活になるまでの期間)を平均4年以上長く維持できることが実証されました9†。
シポニモドフマル酸について
シポニモドフマル酸は、S1P1およびS1P5受容体に選択的に結合します。S1P1受容体に作用することにより、リンパ球がリンパ節から移出することを防ぎ、その結果、それらのリンパ球が多発性硬化症患者の中枢神経系(CNS)に移行することを防ぎます7。これにより、シポニモドフマル酸の抗炎症作用が発揮されます10。また、シポニモドフマル酸はCNS内に移行し11,12,13、CNS内の特定の細胞(オリゴデンドロサイトおよびアストロサイト)上のS1P5受容体と結合し、ミエリン再形成の促進作用と神経保護作用が非臨床試験で示唆されています14,15,16。
欧州連合(EU)では、シポニモドフマル酸は、疾患活動性(再発や画像上での炎症性疾患活動の所見)を有する二次性進行型多発性硬化症(SPMS)に対する成人患者の治療薬として承認されました。米国では、シポニモドフマル酸は、clinicallyisolated syndrome(CIS)*、再発寛解型疾患、疾患活動性二次性進行型疾患を含む再発型多発性硬化症(RMS)の成人患者に対する治療薬として承認されました。この承認は、広範囲なSPMS患者(EDSSの中央値は6.0)を対象とした大規模の無作為化比較対照臨床試験であるEXPAND試験データに基づきシポニモドフマル酸が身体的機能障害や認知機能障害などの疾患進行のリスクを有意に低下させたことによるものです7。シポニモドフマル酸は、成人SPMS患者に対する治療薬としてオーストラリアおよびアルバニアにおいて、活動性SPMSの成人患者に対する治療薬としてカナダおよびアラブ首長国連邦において承認されています。ノバルティスは、世界中の患者さんにシポニモドフマル酸を届けることを目指し、スイス、日本、中国等で、承認申請中です。
多発性硬化症について
MSは、炎症や組織の脱落によって、脳、視神経および脊髄の正常な機能が障害される疾患です17。世界中で約230万人が罹患しているMSは、RRMS、SPMS、PPMSの3種類の病型に分けられます18,19。MSは、RRMSから始まり、再発の有無に関わらず、身体的および認知機能的変化により特徴付けられ、神経機能が経時的に徐々に悪化します20。患者の約85%は、最初に再発型のMSを示します18。疾患活動性(再発やMRIでの新規活動性の所見)を有するSPMSにおいて身体的障害の進行を遅延させる安全かつ有効な治療には、今なお高いアンメットニーズがあります20。
MS におけるノバルティスについて
ノバルティスの多発性硬化症治療薬のポートフォリオには、シポニモドフマル酸に加えて、EUにおいて成人、10歳以上の小児のRMSに対して適応を有する「ジレニア®」(S1P調節薬、一般名:フィンゴリモド塩酸塩、以下「ジレニア」)があります。米国では、「ジレニア」は、成人および10歳以上の小児患者に対するRMSに加えて、CIS、RRMSおよび疾患活動性を有するSPMSも適応として承認されています。日本において「ジレニア」は、「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能又は効果として発売しております。
オファツムマブ(OMB157)は、CD20陽性B細胞を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)で、RMSに対する治療薬として開発中です。2019年9月に発表された第III相臨床試験結果では、RMS患者においてオファツムマブがARRを低下させ、主要評価項目を達成しました21。オファツムマブが承認されれば、RMS患者に対し幅広く使用できる治療薬となるとともに、在宅自己注射**が可能な初の皮下投与B細胞療法となる可能性があります。
皮下注射用インターフェロンベータ-1bは、米国ではCIS、RRMSおよび疾患活動性を有するSPMSを含むRMSの治療薬として承認され、欧州ではRRMS、疾患活動性を有するSPMS、およびMSを示唆する単相性の臨床症状を有する患者(CIS)に対する治療薬として承認を取得しています。
ノバルティスのサンド事業部門は、米国において、テバ社のグラチラマー酢酸塩のジェネリック医薬品であるグラチラマー酢酸塩注射剤 20mg/mL、40mg/mLを販売しています。
**オファツムマブの在宅自己注射の日本における適応については未定です。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7 億5 千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10 万9 千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140 カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
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