生産技術:薬を心待ちにする患者さんのために、高い使命感を持ってプロジェクトをリード。

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マニファクチャリングサイエンス&テクノロジーグループ

自然科学研究科 修士了 2005年入社


デリケートな医薬品を適切に扱うために情報を収集

篠山工場はノバルティスのグローバルの製造拠点から送られてきた製剤を包装して供給する役割を担っています。医薬品は光や熱、湿度などの条件によっては期待する効果を得られなくなることがある非常にデリケートなものです。その性質は製品ごとにまったく異なるため、新製品を扱う場合、必要に応じてさまざまな対策を取らなければなりません。また、箱に詰めるPTPシートの数や包装のデザインを決める必要もあります。私はグローバルの担当者や東京本社のさまざまな部署と連絡を取りながら、新製品に関する情報を収集し、どのような施策が適切かを篠山工場のメンバーと共に考え、その対応を篠山工場の各部署に依頼する役割を担っています。製品ごとにプロジェクトが組まれていて、私は常時、フェーズごとに異なる複数のプロジェクトリード役を務めています。新製品の性質や見込む販売量によっては、新しい機械を導入する必要があったり、特別な製造ラインを用意したりする必要があるため、新製品が承認される予定の4、5年前から情報収集を始め、生産が軌道に乗るまで関わります。

私は入社2年目まで製造部門で勤務していたのですが、入社3年目の時にプロジェクトリード役を務めることになりました。初めて担当したのは、鉄過剰症の治療薬。それまで、この疾患の人は、連日通院して、注射を打たなければなりませんでした。私が手がけることになったのは経口薬で、注射の必要がありません。打ち合わせの席で東京のマーケティング担当者から「患者さんが心待ちにしている薬」であると聞かされ、背筋がピンとする思いがしました。その次に手がけたのが、慢性骨髄性白血病の治療薬です。この薬はそれまで救えなかった患者さんの命を救う薬として、やはり患者さんが待ち望んでいるものでした。1日でも早く届けるために、私ができることは何か考え、全力を尽くす。使命感を強く感じたこの時の体験は、今の私の仕事の原点となっているものです。


困難を乗り越えた時の達成感は、格別のものがある

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私は大学院時代、農業工学の研究をしていて、就職先も食品会社をメインに考えていました。ところが、たまたま研究室に篠山工場からパンフレットが届いたことから会社説明会に足を運んだところ、ノバルティス ファーマにすっかり魅了され、説明会が終わる頃にはぜひこの会社で仕事がしたいと思うようになっていました。学生時代に語学の勉強のためカナダに短期留学したことがあり、海外との関わりを持つ仕事に憧れを抱いていたのですが、ノバルティスがグローバル・カンパニーであることをその時に初めて知り、興味が湧きました。また、当時の工場長が説明をしてくださったのですが、とてもフランクなお話ぶりで好感を持ちました。いろいろなチャレンジができそうな会社だということもわかり、ぜひ働いてみたいと思ったのです。

プロジェクトリード役は、さまざまな部署の人と話すポジションです。上市というプロジェクトのゴールが明確にあり、そこに向けて関係者が一丸となって、それぞれ専門性の高いスキルを発揮していきます。チームで仕事を進めていく醍醐味があり、その中心となってコミュニケーションを取りながら、方針を決めて対策を打ち出していく仕事は、本当に面白くやりがいのあるものです。プロジェクトは数年がかりのものなので、途中、さまざまな困難に出会います。これまでいちばん苦労したのは、OD錠(口腔内崩壊錠)の取り扱いでした。口の中で溶ける製剤なので、そもそも壊れやすく、輸送の途中やパッケージから取り出す際に潰れてしまうといった問題があり、輸送方法やパッケージの形状を工夫して問題解決するまで多大なエネルギーが必要でした。ただ、こうした困難を乗り越えることができた時の達成感は、また格別のものがあります。


役割が変わり、新たな挑戦が始まる新鮮な気持ち

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2014年に、私に一つの転機が訪れました。それは双子の男の子の出産です。その際に、約2年の産前産後&育児休暇を取得しました。子育ては想定外のことばかり起きるので、仕事に復帰したあとも時短勤務制度を利用しています。9時30分~16時30分の時短勤務ですが、実際はフレックス制度を利用して柔軟に時間を調整しています。以前は仕事にのめり込んでいましたが、今はライフワークインテグレーションを意識しながら働いているので、心の持ちようは少し変わったかもしれません。ノバルティス ファーマは多様性を重視していて、育児と仕事を両立させて働く女性にとっては居心地がよい環境です。ただ、生産部門として、患者さんのために1日も早く薬を届けることや、薬を安定的に供給し続けることに手を抜くことはできません。その自覚を持ち、効率よく仕事をするように心がけています。

2017年になってサプライチェーンマネジメント部から現在の部署に異動となり、仕事の中身が少し変わってきました。従来通り、プロジェクトのリード役を務めていますが、新製品の包装に関する技術移管の仕事も担当するようになりました。グローバルから技術を移管する場合はもちろんですが、篠山工場から他社に技術移管をする場合もあります。工場の稼働率を維持し、安定的に供給を続けるためには、スムーズに移管しなければなりません。私にとってはこれまで経験したことのない新しい仕事で、また新たな挑戦が始まるなという新鮮な気持ちで一杯です。