Nov 14, 2023

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2023年10月23日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • 177Lu]Lu-PSMA-617を用いた第III相PSMAfore試験は、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を達成し、HRは0.411であった;  最新の解析による[177Lu]Lu-PSMA-617のrPFS中央値は2倍超の12.0カ月*1
  • 177Lu]Lu-PSMA-617は、アンドロゲン受容体経路阻害剤(ARPI)療法の連日経口投与と比較して、生活の質が高く、その他の臨床的に意義のある有効性評価項目を改善1 
  • 2回目の中間解析時の全生存期間(OS)のデータ解釈では、84%がクロスオーバーしたことから交絡が生じた1;PSMAfore試験でOSデータの収集を継続
  • ノバルティスは、乳がん、大腸がん、神経内分泌腫瘍、肺がん、膵臓がんおよび前立腺がんなどの進行がんを対象とした放射性リガンド療法において幅広いポートフォリオを有し、この治療に対する世界的な需要の高まりに対応するために生産力の強化に向けて投資

2023年10月23日、スイス・バーゼル発 ― 本日、ノバルティスは2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)総会で、第III相PSMAfore試験のデータを発表しました。プレジデンシャルシンポジウムで発表されたデータによれば、アンドロゲン受容体経路阻害剤(ARPI)治療歴のある前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者を対象に、lutetium (177Lu)vipivotide tetraxetan(以下、[177Lu]Lu-PSMA-617)を投与したところ、ARPIを変更した患者と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の延長が認められ、主要評価項目を達成しました1

有効性評価項目177Lu]Lu-PSMA-617の群vsARPI変更群
画像診断に基づく無増悪生存期間*aHR 0.41(95% CI:0.29、0.56;p<0.0001)
rPFS中央値*12.0カ月vs 5.6カ月
前立腺特異抗原濃度が50%以上低下57.6% vs 20.4%
症候性骨関連事象(SSE)発現までの期間aHR 0.35(95% CI:0.22、0.57)
客観的奏効率(ORR)b50.7% vs 14.9%
奏効期間(DOR)b13.6カ月 vs 10.1カ月
FACT-PスコアaHR 0.59(95% CI:0.47、0.72)
簡易疼痛質問票-縮小版(BPI-SF)aHR 0.69(95% CI:0.56、0.85)
事前に規定したクロスオーバー調整OSaHR 0.80(95% CI:0.48、1.33)
未調整OSa(84%がクロスオーバー)HR 1.16(95% CI:0.83、1.64)

aハザード比(95%信頼区間)。 がん治療の機能評価-前立腺
b RECIST v1.1に基づき、ベースライン時に軟部組織に測定可能病変を認めた患者。

「rPFSデータは目を見張るもので、治療効果はVISION試験に認めたものとほぼ同等でした。」と、数多くの試験実施施設のひとつであるTulane University School of Medicine(米国ルイジアナ州ニューオーリンズ)泌尿器科准教授でPSMAfore試験の共同治験責任医師兼治験運営委員会委員長のOliver Sartor医師は述べています。「私たちは、早期の代替選択肢を必要とする患者さんに[177Lu]Lu-PSMA-617が早期に治療の選択肢となることを期待しています。」

ノバルティスのExecutive Vice PresidentでGlobal Head of Oncology DevelopmentであるJeff Legosは次のように述べています。「PSMAfore試験の有望な結果は、副作用が重いタキサン系薬剤をベースとする化学療法の使用を回避または開始を延期できる可能性があることから、進行前立腺がんの治療パラダイムを変える可能性があります。全生存期間のデータ収集を続けていますが、その他の臨床的に意味のある有効性評価項目に一貫してベネフィットを認めたことは、高い生活の質および良好な安全性プロファイルと相まって、タキサン系薬剤未使用のmCRPC患者さんにおける[177Lu]Lu-PSMA-617の可能性を示しています。」

177Lu]Lu-PSMA-617投与患者を、ARPIを変更した患者と比較したところ、画像診断に基づく増悪リスクが59%低下し1、主要評価項目であるrPFSを達成しました2。試験追跡期間が中央値で8.6カ月とより長いデータカットオフ日を用いた最新のrPFS解析(HR 0.43;95% CI:0.33、0.54)では、[177Lu]Lu-PSMA-617投与患者はARPIを変更した患者と比較して一貫した臨床的ベネフィットが示され、画像診断に基づく増悪までの期間が2倍超に延長しました(中央値12.0カ月vs5.6カ月)1

また、[177Lu]Lu-PSMA-617投与患者ではARPIを変更した患者よりも生活の質が高く、FACT-P合計スコアが3カ月間長く維持され(7.5カ月vs4.3カ月)、疼痛増悪(BPI-SF)を5.0カ月vs3.7カ月と遅延させました1。他の臨床的に意味のある有効性評価項目も[177Lu]Lu-PSMA-617の方が優れており、50%以上のPSA低下を認めたのは、[177Lu]Lu-PSMA-617群がARPI変更群の2.5倍超でした1

45%のイベント数に基づく2回目のOS中間解析で、事前に規定したクロスオーバー調整OS解析のハザード比は0.80(95% CI:0.48、1.33)でした1。画像診断に基づく増悪によってARPIを中止した患者の84%が[177Lu]Lu-PSMA-617にクロスオーバーしたため、未調整intent-to-treat OS解析に交絡が生じました1。本試験でOSの評価を継続し、次回のOS中間解析を2024年に実施する予定です。

本試験で、6サイクルの[177Lu]Lu-PSMA-617に良好な安全性プロファイルが示されました1

有害事象(AE)177Lu]Lu-PSMA-617の群vsARPI変更群a
グレード3~433.9% vs. 43.1%
重篤20.3% vs. 28.0%
用量調節を要する3.5% vs. 15.1%
中止に至る5.7% vs. 5.2%

a 1件以上の有害事象を発現した患者。

177Lu]Lu-PSMA-617の全グレードのAEで報告が多かったものは主にグレード1~2であり、口内乾燥(57.3%)、無力症(31.7%)、悪心(31.3%)、貧血(24.2%)、疲労(22.9%)でした1
現在、転移性前立腺がんと診断された患者の5年生存率は約30%であり3、現在の標準治療にもかかわらず進行を認めた患者に対する治療選択肢に対する差し迫ったニーズは高いままです4-7

*177Lu]Lu-PSMA-617は、2022年10月のデータカットオフ時点の主要解析において、中央判定によるrPFSイベントに基づき、主要評価項目のrPFSを達成しました1。最新の探索的rPFS解析は、2023年6月の最新のデータカットオフ日に基づいており、名目上有意性のみを認めました1

PSMAfore試験について

PSMAfore(NCT04689828)試験は、タキサン系薬剤を含むレジメンによる治療歴のないPSMA陽性mCRPC患者を対象に、[177Lu]Lu-PSMA-617の有効性および安全性を、ARPI(アビラテロン又はエンザルタミド)の変更と比較した第III相非盲検多施設共同1:1無作為化試験です8。組入れ患者は、第二世代ARPI(アビラテロン、エンザルタミド、ダロルタミド又はアパルタミド)による治療後に、1回に限り進行した患者としました8

ARPI群に無作為割付けされた患者は、盲検下独立中央判定(BICR)によって画像診断に基づく進行を確認した時点で、[177Lu]Lu-PSMA-617投与群にクロスオーバーすることが認められました。本試験に469例を登録しました8

主要評価項目はrPFSであり、無作為割付け日からPCWG3-modified RECIST v1.1による画像診断に基づく進行(BICRによる評価)又は死亡までの期間と定義しました8。主な副次評価項目であるOSを、無作為割付け日から原因を問わない死亡日までの期間と定義しました8。クロスオーバーを調整するために、rank-preserving structural failure time(RPSFT)モデルを用いて、事前に規定したクロスオーバー調整OS解析を実施しました8

177Lu]Lu-PSMA-617について

177Lu]Lu-PSMA-617は、標的化合物(リガンド)と治療用放射性核種(放射性粒子、この場合はルテチウム-177)を組み合わせた放射性リガンド療法(RLT)の静脈内注射剤です9,10。血中に投与された[177Lu]Lu-PSMA-617は、膜貫通型タンパク質であるPSMAを発現する前立腺がん細胞などの標的細胞に結合します9,10。細胞に結合すると、放射性同位元素からのエネルギー放出により標的細胞や近傍の細胞を損傷し、細胞の複製能力を阻害および/または細胞死を誘発します10

177Lu]Lu-PSMA-617は、他の抗がん治療(ARPIおよびタキサン系化学療法)を既に受けているPSMA陽性mCRPCと呼ばれる進行がんを有する成人患者の治療薬として、米国やEUをはじめとする国々で承認されています11-15。これらの規制上の決定は、第III相VISION試験の結果によって裏付けられています。同試験で[177Lu]Lu-PSMA-617は、OSとrPFSの両方の主要評価項目を達成し、標準治療と比較して死亡リスクを38%、画像診断に基づく疾患進行又は死亡のリスクを60%低下させました9

疾患の早期ステージに進出するという目標の一環として、さらに2つの第III相試験で、PSMA陽性前立腺がんの早期治療薬として[177Lu]Lu-PSMA-617を評価しています:具体的には、PSMAddition(NCT04720157)試験が転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんを対象に実施段階にあり、PSMA-DC(NCT05939414)試験がオリゴ転移性前立腺がん患者さんを対象に準備段階にあります。ここに挙げた試験の詳細については、www.clinicaltrials.govをご参照下さい。

ノバルティスの前立腺がんへの取り組み

前立腺がんは、2020年だけで140万を超える新規症例を認め、375,000人が死亡しています。前立腺がんは世界の半数を超える112カ国の男性に最も多く診断されているがん疾患です16。ノバルティスは、世界トップレベルの科学者、戦略的パートナー、業界内で最も競争力のあるパイプラインを通してイノベーションを起こし、前立腺がんにおける最大のアンメットニーズに対応するため、新たな標的療法やプレシジョン・メディスンのプラットフォームの可能性を探索しています。
標準療法という大胆な科学を通じて、私たちの目標は世界におけるこの疾患の負担を軽減し、前立腺がん患者さんの寿命を延ばし、現在の標準治療を向上させることです。

ノバルティスと放射性リガンド療法(RLT)

ノバルティスは、進行がん患者に対する放射性リガンド療法により、がん治療のあり方を刷新しつつあります。RLTは、放射性原子の力を利用し、進行がんに応用することで、理論的には体内のあらゆる場所にある標的細胞に放射線を照射することができます17,18。ノバルティスは、放射性リガンド療法の幅広いポートフォリオを検討し、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)や前立腺がんに留まらず、乳がん、大腸がん、肺がん、膵がんを対象に、新規アイソトープ、リガンド、併用療法を探索しています。

ノバルティスは、放射性リガンド治療薬の生産拠点ネットワークにおいて、グローバルな専門知識、特化したサプライチェーン、製造能力を確立しています。当社のRLTプラットフォームに対する需要拡大を下支えするため、米国ニュージャージー州ミルバーン、スペイン・サラゴサ、イタリア・イブレアにおけるRLT生産能力の増強に加え、米国食品医薬品局(FDA)の承認を待つ米国インディアナ州インディアナポリスの最新製造施設があと数カ月でオープンする予定です。ノバルティスは製造能力を拡大するための更なる機会を継続的に評価しています。

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

参考文献

  1. Novartis Data on File.
  2. Novartis. Press release. Novartis [177Lu]Lu-PSMA-617 shows statistically significant and clinically meaningful radiographic progression-free survival benefit in patients with PSMA-positive metastatic castration-resistant prostate cancer. December 5, 2022. https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-pluvictotm-shows-statistically-significant-and-clinically-meaningful-radiographic-progression-free-survival-benefit-patients-psma-positive-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer.
  3. American Cancer Society (ACS). Survival Rates for Prostate Cancer. Accessed October 2022.  https://www.cancer.org/cancer/prostate-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html.
  4. de Bono J, Mateo J, Fizazi K, et al. Olaparib for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. N Engl J Med. 2020;382(22):2091-2102. doi:10.1056/NEJMoa1911440.
  5. de Wit R, de Bono J, Sternberg CN, et al. Cabazitaxel versus Abiraterone or Enzalutamide in Metastatic Prostate Cancer. N Engl J Med. 2019;381(26):2506-2518. doi:10.1056/NEJMoa1911206.
  6. Komura K, Fujiwara Y, Uchimoto T, et al. Comparison of Radiographic Progression-Free Survival and PSA Response on Sequential Treatment Using Abiraterone and Enzalutamide for Newly Diagnosed Castration-Resistant Prostate Cancer: A Propensity Score Matched Analysis from Multicenter Cohort. J Clin Med. 2019;8(8):1251. Published 2019 Aug 19. doi:10.3390/jcm8081251.
  7. Tannock IF, de Wit R, Berry WR, et al. Docetaxel plus prednisone or mitoxantrone plus prednisone for advanced prostate cancer. N Engl J Med. 2004;351(15):1502-1512. doi:10.1056/NEJMoa040720.
  8. Novartis Pharmaceuticals. 177Lu-PSMA-617 vs. Androgen Receptor-directed Therapy in the Treatment of Progressive Metastatic Castrate Resistant Prostate Cancer (PSMAfore). U.S. National Library of Medicine: Clinical Trials. 2020; NCT04689828.
  9. Sartor O, de Bono J, Chi KN, et al. Lutetium-177-PSMA-617 for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. N Engl J Med. 2021;385(12):1091-1103. doi:10.1056/NEJMoa2107322.
  10. University of Chicago Medicine. Lutetium-177 PSMA Therapy for Prostate Cancer (Pluvicto). Accessed October 3, 2023. https://www.uchicagomedicine.org/cancer/types-treatments/prostate-cancer/treatment/lutetium-177-psma-therapy-for-prostate-cancer.
  11. Pluvicto [prescribing information]. Millburn, NJ: Advanced Accelerator Applications USA, Inc.; 2022. 
  12. Pluvicto [Summary of Product Characteristics]. EMA. 2022 .
  13. Advanced Accelerator Applications USA, Inc. [177LU]LU-PSMA-617 Canadian Product Monograph. August 25, 2022.
  14. Pluvicto [Summary of Product Characteristics]. Great Britain. 2022.
  15. Swissmedic. Pluvicto® und Pluvicto® CA Injektions-/Infusionslösung i.v. (Lutetium(177Lu)-vipivotid-Tetraxetan). Accessed October 3, 2023. https://www.swissmedic.ch/swissmedic/en/home/humanarzneimittel/authorisations/new-medicines/pluvicto-pluvicto-ca-inj-inf-lsg-iv.html.
  16. Sung H, Ferlay J, Siegel RL, Sung H, et al. Global cancer statistics 2020: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660.
  17. Jadvar H. Targeted Radionuclide Therapy: An Evolution Toward Precision Cancer Treatment [published correction appears in AJR Am J Roentgenol. 2017 Oct;209(4):949]. AJR Am J Roentgenol. 2017;209(2):277-288. doi:10.2214/AJR.17.18264.
  18. Jurcic JG, Wong JYC, Knoc SJ, et al. Targeted radionuclide therapy. In: Tepper JE, Foote RE, Michalski JM, eds. Gunderson & Tepper’s Clinical Radiation Oncology. 5th ed. Elsevier, Inc. 2021;71(3):209-249.

ノバルティスの[177Lu]Lu-PSMA-617、タキサン系化学療法を受ける前の進行性PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん患者において、統計学的に有意かつ臨床的に意義ある無増悪生存期間を延長(PDF 415KB)