Feb 19, 2026

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、「イラリス®皮下注射液150mg」(一般名:カナキヌマブ(遺伝子組換え)、以下「イラリス」)について、世界で初めてシュニッツラー症候群に対する効能追加の承認を取得したことをお知らせします。

シュニッツラー症候群は、50歳前後で発症し、蕁麻疹様皮疹と単クローン性ガンマグロブリン(IgMまたはIgG)血症を特徴とする後天性の自己炎症性疾患です1,2。希少疾患であり、病因は解明されていませんが、初期に特徴的な蕁麻疹様皮疹が出現し、さらに発熱、関節痛及び骨痛等を繰り返すことで、患者さんのQOLが著しく損なわれます1,3,4

これまでシュニッツラー症候群に対して承認された治療法は存在せず、急性期の炎症症状への対症療法として、ステロイドやコルヒチン等の治療薬が使用されてきました。しかし、これらの治療法では症状を部分的又は一時的に改善するにとどまり、多くの患者で症状が強く残存します。また、ステロイドの長期投与に伴う副作用も懸念されています2,3,6。そのため、シュニッツラー症候群に対するアンメットメディカルニーズは高く、患者さんのQOL低下をもたらす症状を緩和し、持続的な病態安定化を可能とする新たな治療薬が求められてきました。

イラリスは、シュニッツラー症候群の病態において重要な役割を果たす炎症性サイトカインの一つである、ヒトインターロイキン-1ベータ(IL-1β)に特異的に結合し、IL-1βIL-1受容体との相互作用を阻害することで、炎症反応を抑える作用が期待されます7

この度の承認は、京都大学を中心とした多施設共同国内第Ⅱ相医師主導治験(IACT21071試験)のデータに基づいています。過去にステロイド又はコルヒチンによる治療を受けていたものの効果不十分であったシュニッツラー症候群患者において、イラリスを投与したところ、7日後に60%3/5例)で臨床的寛解が得られ、投与96週後まで臨床的寛解又は臨床的部分寛解を維持した患者の割合は80%4/5例)でした。安全性ではイラリスの既存のプロファイルと大きな差は認められませんでした。

今回の承認について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは、次のように述べています。「シュニッツラー症候群にはこれまで承認されている治療薬がなく、繰り返す臨床症状の長期的な管理には大きなアンメットニーズがありました。今回のイラリスの効能追加により、症状を緩和し持続的な病態安定化を可能とする唯一の治療薬として治療選択肢を広げ、シュニッツラー症候群の患者さんがより前向きに健やかな生活を送れるようになることを心から願っています」。

国内第II相試験(IACT21071試験)について9,10

本試験は、臨床症状を有するシュニッツラー症候群患者5例を対象とした非盲検、単群試験で、全例にイラリス150mg8週間隔で皮下投与しました。また、初回投与7日後に臨床的寛解がみられない場合には、さらに150mgを追加投与し、以降は初回投与時から8週毎に300mgを投与しました。その結果、主要解析対象集団(全例)における、初回投与7日後の臨床的寛解達成率(主要評価項目)は60%3/5例)で、投与96週後まで臨床的寛解又は臨床的部分寛解を維持した患者の割合は80%4/5例)でした。また、炎症マーカーであるWBC、好中球数、CRP、血清アミロイドA蛋白(SAA)は、いずれも投与7日後に大きく低下し、96週後まで安定して推移しました。また、被験者数は限られるものの、安全性においてイラリスの既知のプロファイルと異なる傾向は認められませんでした。

*臨床的寛解:PGAスコアが5以下で、5つの項目(蕁麻疹、けん怠感、発熱及び悪寒、筋肉痛、関節痛及び骨痛)のいずれも1を超えない。

**臨床的部分寛解:PGAスコアが6以上かつベースラインと比較して30%以上の減少、又はPGAスコアが5以下かつ5つの項目(蕁麻疹、けん怠感、発熱及び悪寒、筋肉痛、関節痛及び骨痛)のいずれかが1を超える。

***PGA スコア:医師による臨床所見の総合評価。主要な臨床所見である5つの項目(蕁麻疹、けん怠感、発熱及び悪寒、筋肉痛、関節痛及び骨痛)に対して、それぞれ040:なし、1:わずか、2:軽度、3:中程度、4:高度)の5段階で評価した合計点(最低点0点、最高点20点)。

イラリス(一般名:カナキヌマブ)について

イラリスは、炎症性サイトカインの一つであるヒトインターロイキン-1βIL-1β)に対する遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体であり、IL-1βに結合し、その活性を中和することで炎症を抑えます。米国および欧州では2009年にクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)の治療薬として承認され、日本では20119月に同治療薬として承認されました。その後、201612月に家族性地中海熱(FMF)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高IgD症候群(HIDS/MKD)の効能が追加されました。20187月には、全身型若年性特発性関節炎(SJIA)、20253月には成人発症スチル病(AOSD)、さらに20262月にはシュニッツラー症候群が追加されました。

シュニッツラー症候群について

シュニッツラー症候群は、蕁麻疹様皮疹と単クローン性ガンマグロブリン血症を特徴とし、これらに加え、発熱、骨痛、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹等の症状が繰り返し現れる、病因及び病態生理が不明である後天性の自己炎症性疾患です。世界では74811、国内では36例が報告されています12。本邦でのイラリスの承認取得までに、世界でシュニッツラー症候群の効能または効果で承認されている薬剤はありませんでした。

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティス ファーマは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
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以上

参考文献

  1. Braud, A., Lipsker, D. (2024). Schnitzler Syndrome: Insights into Its Pathogenesis, Clinical Manifestations, and Current Management. Biomolecules, 14(6), 646.
  2. Simon, A., Asli, B., Braun-Falco, M., et al. (2013). Schnitzler's syndrome: diagnosis, treatment, and follow-up. Allergy, 68(5), 562-568.
  3. de Koning, H.D. (2014). Schnitzler's syndrome: lessons from 281 cases. Clin Transl Allergy, 4, 41.
  4. Gusdorf, L., Asli, B., Barbarot, S., et al. (2017). Schnitzler syndrome: validation and applicability of diagnostic criteria in real-life patients. Allergy, 72(2), 177-182.
  5. Lipsker, D., Veran, Y., Grunenberger, F., et al. (2001). The Schnitzler syndrome. Four new cases and review of the literature. Medicine (Baltimore), 80(1), 37-44.
  6. 厚生労働省「平成2711日施行の指定難病(告示番号1110)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062437.html2026126日情報取得)
  7. 難病情報センター「クリオピリン関連周期熱症候群(指定難病106)」 令和51月(https://www.nanbyou.or.jp/entry/39942026126日情報取得)
  8. 社内資料:臨床に関する概括評価(CTD2.5
  9. Kambe, N., Yamamoto, M., Takemura, K., et al. (2025). Investigator-initiated, multi-center, single-arm, open-label study of the effectiveness of canakinumab in Japanese patients with Schnitzler syndrome. Allergol Int, 74(2), 254-262.
  10. Műzes, G., Sipos, F. (2025). Background and Clinical Features of a Unique and Mysterious Autoinflammatory Disease, Schnitzler Syndrome. Int J Mol Sci, 26(2), 598.
  11. Takimoto-Ito, R., Kambe, N., Kogame, T., et al. (2023). Summary of the current status of clinically diagnosed cases of Schnitzler syndrome in Japan. Allergol Int, 72(2), 297-305.

 

<参考資料>
イラリス®皮下注射液150mgの製品概要

製品名:
イラリス®皮下注射液150mgILARIS® solution for s.c. injection 150mg

一般名:
カナキヌマブ(遺伝子組換え)注射液

効能または効果(下線部が今回追加):

  • 以下のクリオピリン関連周期性症候群
    • 家族性寒冷自己炎症症候群
    • マックル・ウェルズ症候群
    • 新生児期発症多臓器系炎症性疾患
  • IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)
  • TNF受容体関連周期性症候群
  • シュニッツラー症候群

既存治療で効果不十分な下記疾患

  • 家族性地中海熱
  • 全身型若年性特発性関節炎
  • 成人発症スチル病


用法及び用量*
〈クリオピリン関連周期性症候群〉
通常、体重40kg以下の患者にはカナキヌマブ(遺伝子組換え)として12mg/kgを、体重40kgを超える患者には
1150mg8週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果(皮疹及び炎症症状の寛解)がみられない場合には適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では8mg/kg、体重40kgを超える患者では600mgとする。最高用量まで増量し、8週以内に再燃がみられた場合には、投与間隔を4週間まで短縮できる。なお、症状に応じて1回投与量の増減を検討すること。

〈高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)〉
通常、体重40kg以下の患者にはカナキヌマブ(遺伝子組換え)として12mg/kgを、体重40kgを超える患者には1150mgを、4週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果がみられない場合には追加投与又は適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では6mg/kg、体重40kgを超える患者では450mgとする。

TNF受容体関連周期性症候群及び家族性地中海熱〉
通常、体重40kg以下の患者にはカナキヌマブ(遺伝子組換え)として12mg/kgを、体重40kgを超える患者には1150mgを、4週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果がみられない場合には追加投与又は適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では4mg/kg、体重40kgを超える患者では300mgとする。

〈シュニッツラー症候群〉
通常、成人にはカナキヌマブ(遺伝子組換え)として体重40kg以下の患者では2mg/kgを、体重40kgを超える患者では1150mg8週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果がみられない場合には追加投与又は適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では4mg/kg、体重40kgを超える患者では300mgとする。

〈全身型若年性特発性関節炎及び成人発症スチル病〉
通常、カナキヌマブ(遺伝子組換え)として14mg/kgを、4週毎に皮下投与する。1回最高用量は300mgとする。

承認取得日:
2026219

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社

*「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。

 

 

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