プレスリリース
報道関係各位
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2025年11月24日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照ください。なお、本製品は日本では未承認です。
第53条LRに基づく臨時発表
- onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与は第III相試験でSMA治療歴を問わず患者の運動機能の改善と安定化を示した
- 1回のonasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与でSMN1遺伝子を補充し、長期に及ぶSMA治療の必要性を減らす可能性がある
- 年齢を問わず、適格なSMA患者に遺伝子補充療法が可能になった
2025年11月24日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、運動神経細胞生存遺伝子1(SMN1)に変異が確認された2歳以上の小児、成人の脊髄性筋萎縮症(SMA)を対象とする治療薬のonasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与が米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました。onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与はこの幅広い患者集団に使用可能な最初で唯一の遺伝子補充療法となります。onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与は、年齢や体重による調整を必要としない固定用量の単回投与で、SMAの遺伝学的な根本原因に対処するよう独自に設計されており1、SMN1遺伝子を補充することによって運動機能を改善します。これによりonasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与では、他の治療で必要となる長期投与の負担を軽減できる可能性があります1。
スタンフォード大学医学部の神経筋医学部門長であり、神経科および小児科教授、さらにスタンフォードNeuro IGNITE Centerの共同責任者でもあるJohn W. Day教授(MD, PhD)は次のように述べています。「髄腔内投与するonasemnogene abeparvovec-brveのFDA承認は、画期的な進歩であり、幅広い年齢層のSMA患者さんに遺伝子補充療法を提供できるようになります。この成果はSMAにとって大きな前進であるだけでなく、神経疾患や遺伝医学の幅広い領域での新たな可能性も示すものです」。
onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与の承認は、承認申請のための第lll相STEER試験のデータに基づいており、非盲検の第lllb相STRENGTH試験の結果によって裏付けられています。onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与は、疾患の自然経過では通常見られない統計学的に有意な運動機能の改善と運動能力の安定化を示し、その効果は52週間の追跡期間にわたり持続しました2,3。また、安全性プロファイルは両試験で一貫していました2,3。最も多かった有害事象は、STEER試験では上気道感染と発熱、STRENGTH試験では感冒、発熱、および嘔吐でした2,3。これらのデータは2025 Muscular Dystrophy Association(MDA)Clinical and Scientific Conferenceで発表されました。
Cure SMAの代表であるKenneth Hobby氏は次のように述べています。「単回投与の遺伝子補充療法のためのこの新たな投与経路は、運動機能評価の数字で評価されること以上の意味を持ち、日常生活における自立や自由をもたらす可能性があります。SMAの治療環境は、最初の遺伝子治療が承認されてからの6年間で劇的に変化しました。今回の進展は、年長の患者さんへの適応拡大と、私たちのコミュニティに残るアンメットニーズへの対応という点で、真の前進です」。
SMAは、SMN1遺伝子の変異または欠失によって引き起こされる稀少な遺伝性神経筋疾患です4,5。SMN1遺伝子は、呼吸や嚥下、基本的な動作などの筋機能のために身体が必要とするSMNタンパク質のほとんどの産生に関与しており5、欠損すると運動ニューロンの不可逆的な喪失を引き起こし、進行性で重度の筋力低下を引き起こします5。バックアップ遺伝子であるSMN2遺伝子は、SMN1遺伝子と比較するとわずかな(約10%)機能的SMNタンパク質しか産生しません6。SMN2遺伝子のコピー数が多い患者は、コピー数が少ない患者よりも一般に症状が軽度です6。
米国では約9,000人がSMAに罹患しており、治療の進歩はあるものの、年長の小児、成人にとって運動ニューロンの保護や筋力維持に関するアンメットニーズが依然として存在します7,8。
変化するSMA治療
ノバルティス米国プレジデントのVictor Bultóは次のように述べています。「この困難な疾患に対する最初の遺伝子補充療法によってSMA治療は大きく変化し、今回、onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与が承認されたことにより、さらに幅広いSMA患者集団のアンメットニーズに応えることができるようになりました。私たちの革新的な単回治療を通じて、長期治療に伴う負担を軽減し、すべての年齢の患者さんの力になり、SMAコミュニティを支援できることを誇りに思います」。
onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与は米国で12月より使用可能になります。Novartis Patient Supportは適格患者の治療開始を支援します。保険の補償範囲の理解や、利用可能な財政支援の選択肢の特定など、個別化された支援をご希望の患者と医療関係者の方は1-855-441-4363までご連絡ください。
onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与について
onasemnogene abeparvovec-brve髄腔内投与は、単回の髄腔内投与によりヒトSMN1遺伝子の機能を補充し、SMNタンパク質の持続的発現を通じて運動機能を改善することで、SMAの遺伝学的な根本原因に対処するよう設計されています。
ノバルティスは、あらゆる種類のSMA治療を目的としたアデノ随伴ウイルス9(AAV9)遺伝子補充療法の静脈内および髄腔内投与について、Nationwide Children's Hospitalとの世界独占ライセンスを有しています。また、REGENXBIOからはヒトSMAのin vivo遺伝子補充治療に関するAAVベクターの独占ライセンスを、GénéthonからはSMA治療のためのAAV9ベクターの中枢神経系へのin vivo送達に関する独占ライセンス契約を取得しています。
神経科学領域におけるノバルティスの取り組み
神経疾患は個人の生活に深く影響を及ぼす疾患であり、新生児から高齢者まであらゆる年齢の人びとが罹患し、しばしば働き盛りの人々を襲います。ノバルティスでは、神経領域へのコミットメントをさらに強化し、脊髄性筋萎縮症(SMA)や多発性硬化症(MS)におけるイノベーションを拡大し、神経免疫学、神経変性疾患、そして神経筋疾患に取り組んでいます。私たちの目標は、人々の健康を生涯にわたって守り、より良い転帰につながる治療選択肢を開発することです。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日を過ごせるため「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で約3億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上
参考文献
- Itvisma® (onasemnogene abeparvovec-brve). Prescribing Information. Novartis Gene Therapies, Inc.
- Proud C, et al. Neuromuscul Disord. 2025;(53):0960-8966.
- Clinicaltrials.Gov. STRENGTH Study Results. https://clinicaltrials.gov/study/NCT05386680. Accessed November 2025.
- Anderton RS and Mastaglia FL. Expert Rev Neurother. 2015;15(8):895–908.
- National Organization for Rare Disorders (NORD). Spinal Muscular Atrophy. https://rarediseases.org/rare-diseases/spinal-muscular-atrophy/. Accessed November 2025.
- Lorson CL, et al. Hum Mol Genet. 2010;(15):111-8.
- Cure SMA. State of SMA 2024 Report. https://www.curesma.org/wp-content/uploads/2025/04/State-of-SMA-Report2024_vWeb-4.pdf. Accessed November 2025.
- Cure SMA. Address the Unmet Needs of Children and Adults with Spinal Muscular Atrophy. https://www.curesma.org/wp-content/uploads/2024/08/NIH_SMA_Research_FactSheet.pdf. Accessed November 2025.
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