Nov 25, 2025

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ)(以下「ノバルティス ファーマ」)は、日本の前立腺がんの治療経験に基づく視点を理解することが、今後のがん治療と患者ケアの改善に役立つという考えに基づき、前立腺がんの患者さん(1,860人)と介護者(163人)を対象に治療環境に関する実態調査を実施いたしました。本調査は、前立腺がんの治療に対する認識や経験についてのオンライン調査であり、さらにその結果を15,824人の前立腺がん患者さんを対象とした欧米諸国(ドイツ、英国及び米国)で行われたオンライン調査1と比較しています。なお、本調査結果は、「日本泌尿器腫瘍学会第11回学術集会」にて発表しています。

前立腺がんは、我が国の男性において最も罹患数が多いがんであり、毎年新たに約9.5 万⼈が前⽴腺がんと診断されています2。前⽴腺がんによる死亡は年間約1.3万⼈にも上り、今後⾼齢化の進展に伴いさらに増えると予想されます3

本調査結果から、日本人前立腺がん患者さんは、治療方針において治療決定に参加していない方が半数以上にのぼることが示唆されました。また、約半数の患者さんが通院にストレスを感じていることや、療養環境の改善を目的に活動する患者支援団体と関わりのある患者さんは少ないが、関わりがある場合、患者さんの満足度は高いことなどがわかりました。

介護者の調査結果からは、介護者が直面した課題として、前立腺がんの治療選択肢に関する情報(メリット・デメリット)や、症状や予後に関する前立腺がんの情報と患者をサポートする最善の方法、患者の身体的・心理的変化への対処法がわからないことなどが挙げられました。

本調査、及びこれまで前立腺がん治療に携わられたご経験を踏まえ、横浜市立大学付属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 診療教授上村 博司氏は「日本の男性患者、及び介護者は、海外と比較すると一人で悩みを抱え込む傾向があり、患者支援団体などからの情報源を活用する方も少ないことがわかります。短く限られた診察時間内でも真摯に患者さんと家族の訴えに耳を傾け、適切な情報共有を行うことで、Shared Decision Making(共有意思決定)を推進することが重要です」とコメントしています。

【調査概要】

  • 調査主体  :ノバルティスファーマ株式会社
  • 実査    :DontBePatient Intelligence
  • 調査方法  :デジタル調査
           患者および介護者はオンライン広告(Yahoo! Japan、Facebook、Instagram)を通じて、患者団体はリンク共有を通じて募集
  • 実施期間  :2024926日~1118
  • 調査対象  :前立腺がん患者(1860人)、介護者(163人)
                <前立腺がん患者の内訳>
           前立腺に限局したがん(局所性)1,441人、進行性前立腺がん337人、
           自身のがんのステージを知らない82
  • 調査メンバー:横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器・腎移植科 上村 博司,DontBePatient Intelligence GmbH Reiner Lehmann,
           前立腺がん患者会PSA北海道 齋藤 浩哉,ノバルティス ファーマ株式会 鈴木 和幸Novartis Pharmaceuticals UK Ltd. 
           Vivienne Beckett, Advanced Accelerator Applications(ノバルティス社子会社)Osvaldo Mirante, Patrick G.
           Johnston Centre for Cancer Research, Queen‘s University Belfast, Northern Ireland Cancer Centre, Belfast City Hospital, Belfast,
           Northern Ireland、Joe M. O’Sullivan,Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School Alicia  K. Morgans 

主な調査結果

回答者の特性】

  • 4,936例の回答を完了した調査対象者のうち前立腺がんの診断を受けた患者さんは1,860例、介護者は163例で、そのうち95.6%の患者さんは、自身のがんのステージを認識していたが、4.4%(82例)の患者さんが自身のステージを知らないと回答した(図1)。

図1 調査回答数及び患者背景

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【患者さんの治療経験と認識】

  • 患者さん全体の約半数が、治療のための通院にストレスを感じている(局所性前立腺がん49.4%、進行性前立腺がん56.3%)(表1)。
  • 自分の治療選択肢を理解したと回答した患者さんは、局所性前立腺がんの73.4%、進行性前立腺がんの58.2%、治療決定に満足しているとした患者さんは、局所性前立腺がんの78.0%、進行性前立腺がんの68.7%(表1)。

表1:患者さんによる回答                                            n=1860

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【介護者への調査】

  • 前立腺がんに関する情報を調べた介護者は全体の55.6%(表2)。
  • 治療決定に関与しなかった方が52.5%、治療選択において医師と会話された方が19.1%、患者支援団体と交流された方は11.7%など、患者さん以外との交流は少ないことがわかった(表2)。
  • 患者さんをケアする上で最も困難だと思うことは、「患者さんをサポートする最善の方法がわからないこと」、「患者さんに生じた変化(疲労、身体面の変化、気分の変化など)への対処の仕方」などの回答が寄せられた。

表2:介護者による回答                                              (n=163)

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【日本人データと欧米人データの比較】 

  • 自分の治療決定に参加していないと回答した日本の患者さんは、局所性前立腺がんの47.3%、進行性前立腺がんの54.2%だが、欧米では11.2%にとどまり、自分の治療決定に参加していないと回答した日本の患者さんの多くが、その理由として担当医による決定への信頼をあげた(表3)。
  • 日本では介護者のほとんどが同居していない友人又は親族(85.9%、男性)であるのに対し、欧米では配偶者(81.7%、女性)が主流(表3)。
  • 日本の前立腺がん患者さんの大部分は患者支援団体に関わりを持っていない(表3)が、患者支援団体と関わりのある患者さんからは好意的な回答(75.8%)が寄せられた。

表3:患者さんによる回答

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FACT Pスコア:前立腺がんの治療における患者の生活の質を評価するための尺度
前立腺がんサブスケールスコア:前立腺がん患者の 健康関連QOLを評価するための質問票の一部で算出されたスコア

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業、ノバルティスの日本法人です。ノバルティス ファーマは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。  詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp 
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。Facebook LinkedIn YouTube  Instagram

以上

参考文献 

  1. O’Sullivan JM, et al. European Urology Oncology. 2025; doi.org/ 10.1016/ j.euo.2025.03.006.
  2. 2022 年。国⽴がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚⽣労働省⼈⼝動態統計)
  3. 2019 年。国⽴がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

 

 

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