子どもに告知は必要か?


「私のように思わぬところで知ってしまって衝撃を受けるより、ちゃんと落ち着いた場所で信頼できる人から『あなたはこういう病気だよ』と説明されたほうがいいと、私は思うんです」。小俣さんは言う。

入院中の子ども同士は、大人が考えている以上に情報交換をしている。たとえば一方の子どもは自分が白血病だと知っていて、一方は知らない場合、同じ点滴を受けていたら「あれ、もしかして同じ病気なのかな…」と気付いてしまうこともある。
特に今は昔以上に情報が溢れている世の中。「小学生でも携帯電話を持っていますから、薬の名前一つで検索することもできますよね」

それでも、小児がんの場合、本人に伝えるケースは現在もまだ多いとはいえないという。なかには、伝えることが大前提で、かつ、「どんな風に伝えるか」「兄弟姉妹など誰まで伝えるか」を話し合っている病院もあるものの、それはほんの一部の先進的な病院の話だ。
「子どもの方が大人よりも思考が柔軟ですし、『がん=痛い、苦しい、つらい、治らない等』の固定観念がない分、大人が思っているよりも素直に受け入れることができると思うのですが…」

自分の病気についてちゃんと説明を受けていない子どもが多い一方で、病院を退院した子どもたちには、「病気のことを周囲に伝える」という仕事が待っている。