ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は本日、副作用報告システム障害によって発生した副作用報告の遅延について医薬品医療機器法違反により、厚生労働大臣から行政処分を受けました。処分の内容は以下のとおりです。

弊社は、昨年8月29日付で提出した改善計画書で再発防止に努める旨を明言したにもかかわらず、再び副作用報告遅延の問題で行政処分を受けたことを極めて重く受け止め、深くお詫び申し上げます。

1. 第一種医薬品製造販売業の許可に係る製造販売業務に対する業務改善命令

(医薬品医療機器法第68条の10第1項及びこれに基づく同法施行規則第228条の20第1項違反)

違反内容は、副作用報告システム障害により、すでに承認されている57成分の副作用報告義務の対象となる5,475症例(国内報告症例824例、外国報告症例4,651例)の副作用を定められた期限内に報告しなかったことです。

5,475症例の内訳は、クロザリル国内144例/外国511例、エクア国内101例/外国48例、アフィニトール国内80例/外国290例、ネオーラル国内72例/外国81例、ジレニア国内59例/外国374例などでした。

なお、収集された有害事象報告の安全性評価は適切に実施しており、薬剤の有効性・安全性・品質に影響するものはないことを確認しております。また、これまでに厚生労働省から添付文書の変更等の安全対策の指示は受けておりません。

2. 治験依頼者(弊社)に対する業務改善指示

(医薬品医療機器法第80条の2第6項及びこれに基づく同施行規則第273条第1項違反)

違反内容は、副作用報告システム障害により治験薬28成分の副作用報告義務の対象となる154症例(国内報告症例7例、外国報告症例147例)の副作用を定められた期限内に報告しなかったことです。

なお、現時点でこれらの治験薬の副作用情報は、治験施設および治験参加医師に対し伝達を終了しております。

今回の副作用報告遅延に至った原因は次のとおりです。

弊社は2015年1月に、国内で使用していた副作用報告システムをノバルティスが全世界的に用いているシステムに変更しました。その際に、業務改善命令および業務改善指示で指摘されているように、システム変更時に障害への対応の不備があったことにより副作用報告遅延を発生させたことによるものです。

  • システム障害発生後、製品および治験薬の副作用報告遅延の可能性があったにもかかわらず、直ちに厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ報告を行わず、報告を行ったのは副作用報告遅延を認識した後であったこと
  • システム障害が発生した場合であっても、早期に解消できるという認識を持っていたため、製品および治験薬の副作用報告義務違反を最小限にとどめるために、対応人員の増強、紙媒体による副作用報告などあらゆる手段を検討すべきところ、これを怠り、副作用遅延を拡大させたこと

今般の副作用報告システム障害につきましては、プログラム修正等の対応を行い、9月9日までにすべての副作用症例のPMDAへの報告は完了しております。

弊社は、副作用報告義務の遵守について、業務改善を重ねて命じられたことを極めて重く受け止め、代表取締役社長および関連担当取締役2名に対し、役員報酬を2015年11月から3カ月間、30%減額する処分を科しました。

弊社は1カ月以内に是正措置および再発防止策などの改善計画を策定し、厚生労働省に提出いたします。その改善計画に基づき、速やかに社内改革を実施し、再び、患者の皆様や医療関係者の皆様にご迷惑をおかけしないように、全力で再発防止に取り組む所存です。

本事案に関する弊社のコメントは以下のとおりです:

「弊社は、昨年8月29日付で提出した改善計画書で再発防止に努める旨を明言したにもかかわらず、再び副作用報告遅延の問題で行政処分を受けたことを極めて重く受け止め、患者の皆様とそのご家族、医療関係者の皆様、ならびに国民の皆様に対して、心より深くお詫び申し上げます。今回の処分をより一層深く受け止め、再び、患者の皆様や医療関係者の皆様にご迷惑をおかけしないように、全力で再発防止に取り組む所存です」

業務改善命令および業務改善指示の内容:

① 製品および治験薬の副作用報告遅延の件数を拡大させた今般の対応を真摯に反省し、今後は、副作用報告遅延の可能性が生じた時点でPMDA及び厚生労働省に速やかに報告するとともに、副作用報告義務違反を確実に回避するための措置に万全を尽くすべきことを全社員に徹底し、再発防止を期すること。

② 今後、製品および治験薬の副作用報告を遅延させかねないような事態(システムの障害、大規模改修等)が発生した場合は、対応の遅れにより期限内に副作用報告ができない事態が発生しないよう、以下のような体制を整備すること。

  • 現行の副作用報告システムが電送障害により使用が不可能となった場合にも代替手段により確実に報告が行える体制を構築するとともに、その対応に必要な応援要員を予め定め、それらの社員に対して副作用報告義務の予備的教育・訓練を実施すること
  • システム障害の解消や人員確保の遅れ等により報告遅延が拡大することのないよう、経営層を含めた情報共有及び速やかな意思決定を行うとともに、これらに基づき迅速な対応が可能となる体制を構築すること
  • 現行の副作用報告システムの使用が不可能となった場合、副作用報告対応のための人員確保やシステム対応(例えば予備システムの稼働やシステム障害解消等)といった業務継続性を維持するための業務手順書を作成すること

③ ①及び②を踏まえ、業務の改善に当たっては、改善命令発出後1カ月以内に、是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定して、厚生労働省に提出すること。

本件に関する社長コメント


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